GrahamはFrankfaterの夢を見るか? その10「写真集」は規制されたが「どうも、さっきから拝聴していると、おまえ一流の言葉の詐術のように聞こえるんだけどね!」 「そうかい? 何ならこう言い換えても差し支えないよ… つまり、未成年ポルノを読むことによって妄想を妄想のまま脳内だけで萌える『代償』効果と、読むことによって妄想を実行に移すことになる『学習』効果と、どちらが大きいだろうか、と」 「『学習』効果の方が大きいから、問題が起きているんじゃないのか?」 「アルコール摂取による慰謝効果と、中毒効果のどちらが大きいか、という論争なら歴史的にほぼ決着がついていると思うけれどね…アメリカの禁酒法も結局は役に立たなかっただろう?」 「つまり…未成年ポルノを禁じることによってかえって性犯罪者の増加する可能性もある、と? 成程! それもいいだろうサ! だけどそれをどうやって…お得意の言葉で言えば『証明』する? グレアム?」 「少なくとも…ボクの調べた限りでは、それを証明する学術的データはないね」 「そらみろ!」 「だって、全面的に禁じられたことがないんだからね! 逆に…未成年ポルノを禁じることで性犯罪者が激減したというデータもないわけだけど」 「写真集はなくなったんだろう?」 「Mの事件以来、漸減していって、今ではもうヌード写真集としては販売されていないようだね。ただあれは人権が絡んでくるということで禁止されたわけだし、チャイドル指向のローティーンは一定数いるから、水着写真集などは今でも出版されているみたいだよ」 「それって、詐欺に近くない?」 「少なくとも可能性はあるわけだし。撮る方と撮られる方が納得していれば警察も手が出せない」 「なんだかな…」 「だけど、そうやって写真集やビデオが規制されても、相変わらず未成年を性の対象とした犯罪は後を絶たないのが現実だ」 「規制したから増えたと言うんじゃないだろうな? さっき証明できないと言ったばかりだぞ、グレアム」 「逆に減ったという証明もできないわけだよ、アンジー」 「畜生! じゃあ、さっきおまえが言った、Mの事件はどうなんだよ? あいつの部屋にはその手の本やビデオがいっぱいだったと言うじゃないか! 世の中にああいうものがなければ、あいつもああいう世界を知らずにすみ、あんな犯罪は犯さなかったんじゃねえのか?」 |